くろきつ

セント・オブ・ウーマン/夢の香りのくろきつのレビュー・感想・評価

4.5
孤独な盲目の気難しい退役軍人と心優しい青年が旅をする中で心を通わせて互いに人生を見つめ直す姿を描いた感動のヒューマンドラマ。

アル・パチーノが盲目の退役軍人を演じアカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞したドラマ。名門高校に通う青年が世話をすることになったのはプライドが高く気難しい盲目の退役軍人フランク・スレード中佐だった。物語としては頑固な老人と人生をまだ見据えることのできていない青年が交流を深めて新たな道へと進んでいくというよくあるものなのだがこの映画には他の映画とは違う観客を魅了する何かがあった。それはアル・パチーノの名演だと思う。盲目の退役軍人の青年と旅をしていくにつれて変化していく心を見事に演じていた。この映画で最も印象的なシーンといえばきっとスレード中佐とホテルで出会った女性ドナのタンゴのシーンだと思う。とても美しいこのシーンだがスレード中佐がタンゴが踊れるか不安なドナに対してあることを言う。足が絡まっても踊り続けると絵になる。その言葉はこの映画のテーマであると思う。スレード中佐と主人公の旅は主人公のスレード中佐による人生教室であって絡まっても踊り続けると絵になるタンゴのように人生も生き続けることでいいことがあるということだと思う。とても印象に残った。フィルマークスで評価4.2なのも納得の映画だった。
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