よっこ

セント・オブ・ウーマン/夢の香りのよっこのレビュー・感想・評価

3.9
鑑賞記録。
ようやく観ました。

盲目の退役軍人フランクを演じるアル・パチーノが高圧的で過去の権威を引きずった嫌な感じなのに対し、高校生とは思えない冷静さと優しさを兼ね備えたチャーリーの献身ぶりが見どころ。

五感を研ぎ澄まし見えなくても人の心を読み取る鋭さ、知性、軍人として死に場を失い視力を失い生きる意味を失くしてしまった老人の哀愁がよく描かれている。

人生の最後に思い残すことなく自分の美学に基づいてキッチリ身なりを整え高級ホテルのに泊まり、美しい女性とタンゴを踊る。

フェラーリで暴走するシーンはハラハラドキドキ、俺の目は確かなんだ、というプライドとそれでも自分の人生の幕引きを準備する哀愁が切なかった。

親子でもない赤の他人同士の2人、毒づかれ、男のロマンの蘊蓄を説かれ、チャーリーの人生に大きな影響を与えるフランク。

ハイスクールでの長い演説も見事だけれど、ぶれない人生観、己を守り生き抜く力、フランクのショーでもある映画であった。
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