ワルキューリ

ソーシャル・ネットワークのワルキューリのレビュー・感想・評価

ソーシャル・ネットワーク(2010年製作の映画)
4.1
トランプ大統領が誕生した米国大統領選挙で、大きな役割を果たしたのがSNS上に散らばる個人情報だったという。それこそ2018年現在8億人が登録する世界最大のSNS「フェイスブック」の力の源泉で、邪な考えの企業が狙いをつけたのも当然狙ってくるしだからこそそ管理する人間は悪用されたときは説明責任を追う。

そのフェイスブックを立ち上げた若者が自分中心でわがまま、しかし天才的なプログラム構築力を持つマーク・ザッカーバーグ。彼がいかにアイディアを思いつき、財を成し、人から憎まれたのか、その過程を赤裸々に描く。

ザッカーバーグが起こされた訴訟と過去の回想をザッカーバーグの性格を表すとめどない会話でつむぐ難しい構成ながら、流れを複雑に感じさせないデヴィッド・フィンチャーらしい的確な組み立てとカット捌きが光る。

特にお気に入りなシーンはショーン・パーカーの話を聞くザッカーバーグとエドアルドの対比。金と知名度、名声は得たけども他人に悪用され好かれるのと同じくらい悪意を向けられる原因となったフェイスブックを産んだ運命的なポイントで全てが変わったんだな、と…


しかし『ザ・ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』でも思ったことだけど、アメリカ映画は存命中であれ財界の偉人に対して容赦ない。
ただ、善行と同じ視点で眉をひそめたり時には全否定したくなるような場面を逃げずに正面から描き出すことで、すべての行動が善意・悪意に二分できない複雑さを秘めていると気づかせてくれる愛がある。
それがラストシーンでザッカーバーグに投げかけられる言葉に集約されていて、あれは超絶わかりみだったなあ。