うちの親はシングルではなかったけれど、
苦労して大学まで行かせていただいたのに
いまだに母を楽にさせられてなくて、
60代半ばでまだ働いてますから、
身につまされる部分が多い作品でした。
そもそもなんで結婚も子どもも黙ってたのかって思うんだけど、
息子としては立派になるまで知らせたくなかったってことなのね。
でも母親が悲しかったことって
実はうだつの上がらない現状自体ではなく、
24才(!)でめちゃめちゃ弱気になってしまってる性根の部分なんだよね。
それが息子からはわからない。
母親が嬉しく感じるのも、
借金して見栄を張ってるとこじゃなく、
必死で少年を助けようとする姿だったり。
お互いのことを思いやりながらも
この噛み合わなさが本当に歯痒かった。
これが小津監督のトーキー一作目なんですね。
そもそも戦前の日本映画を見るのって初めてかもしれない。
しかしこれまで見てきた戦後の小津作品と通底する普遍的なテーマで、
見づらさみたいのは全くなかったです。
しかし若い笠智衆のトンカツ屋になってからの
あの気持ち悪いニヤニヤはなんなんだろう?
思わず笑ってしまったな。