てるる

光のほうへのてるるのレビュー・感想・評価

光のほうへ(2010年製作の映画)
3.8
この監督の「セレブレーション」が結構イカれた映画で印象に残ってるんだけどDVD化されてない。
代わりにこちらを観てみたけど…

北欧デンマークらしい寒々とした空気の中で展開される兄弟のドラマ。
これは重い。

アル中で育児放棄の母親のもと、産まれたばかりの弟を見よう見まねで世話する幼い兄弟。
だがある日、赤ん坊が冷たくなっているのを発見してしまう…。

その辛い経験を大人になるまで引きずり、まともな生活を送れない2人。
兄ニックは暴力事件を起こしてシェルター生活。
弟は子供を育てつつもヤク中から抜け出せない。

虐待を受けた子供が親になって虐待をしてしまうケースや、貧困家庭の子供が大人になっても貧困から抜け出せない率はめちゃくちゃ高いらしい。
まさに負の連鎖。

もちろんどんな家庭で育ったとしても、ちゃんとやってる人もいる。
それを自己責任と片付けてしまうのは簡単だけど、三つ子の魂百まで。
幼い頃に受けた心の傷はそう簡単には癒えない。

今は普通でもいつ何時トラウマが蘇ってくるかもしれない。
兄貴であるニックだって恋人と上手くいっていればまともな家庭を築けていたかもしれない。

暗く切ないけど、ラストで少しだけ希望が持てるのが救い。
ニックが新しい怪傑ゾロになれるといいな。

でもね、いくら友達だからって性犯罪者予備軍(というか片足突っ込んでる)のデブは何とかすべき。
あれを放ったらかしはヤバい。
あれだけはモヤっとした。

原題のsubmarinoは海底という意味。
どん底にまで落ちて這い上がれない2人を意味してるのだろうけど、邦題はポジティブなほうに目を向けている。
原題と邦題、どちらがしっくりくるかは観る人次第かもしれない。
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