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マルサの女2のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

マルサの女2(1988年製作の映画)
4.8
マルサこと国税局査察部査察官・板倉亮子(宮本信子)に、東京大学を卒業したばかりという部下(益岡徹)がついた。亮子はある地上げ屋の脱税を追求していたが、その裏にはもっと大きな力がうごめいていた。それはヤクザであり、宗教法人であり、さらに大物政治家までもが絡んでいた。
宗教法人というのはいくらお金をもうけても税金はかからない。そこに目をつけた悪人たちは、宗教法人を隠れミノに金儲けを企む。亮子たちは地上げ屋を繰る鬼沢鉄平(三国連太郎)という天の道教団の代表に目をつけ調査を始めるが、なかなかシッポをつかまえることができない。
亮子らはあるとき税務署員を装い教団へと潜入するが、教徒らによって追い出されてしまった。地上げ屋のマンションの住人や大衆食堂に対する横暴が続く中で、何億円という巨額な金が動いていた。
しかし、亮子たちが証拠をつかもうとすると、次々にトカゲのシッポを切るように人が殺されていく。いよいよ脱税の確信をつかんだ査察部は、天の道教団へ乗り込み、証拠書類を押収。鬼沢鉄平を取り調べまで追い込んだ。
しかし、最後まで鬼沢は口を割らず挙句の果てに自ら顔を壁にぶつけて血だらけになりながら、「国税局は納税者を拷問にかけるのか」とすごむ始末。しかし、そんなとき取り調べ室まで狙撃された。鬼沢までトカゲのシッポでしかなかったのか。
やがて鬼沢の腹心・猫田が死体となって発見され、鬼沢は身重の愛人と巨額の財産を隠していた自分の墓に逃げ込み高笑いし続ける。
鬼沢の地上げした土地ではビルの着工を前に地鎮祭が行われ、鬼沢を背後で操って自らは手を汚すことなく利益を得た大臣・代議士・企業幹部が談笑する。その姿を少数の同僚とともにフェンス越しに隠れて見つめていた亮子は、やりきれなさに唇を噛む。
今回の国税局査察部の標的は、都市再開発のための地上げに関わる新興宗教団体とヤクザと政治家。ストーリーの大半が、ヤクザと宗教団体が手を組んでどのように地上げをしていくか「地上げは愛情と脅し」、宗教団体の利益隠しをしていくかをジャーナリスティックに描いていくルポルタージュ的な側面が強く、板倉亮子たち国税局査察部の脱税の手口を暴く展開がクライマックス近くにしかないし、「悪い奴は良く眠る」というオチは前作ほど痛快さはない。だからこそ、宗教団体とヤクザと政治家が絡んだ結託して悪のどす黒さが、伝わってくる。津川雅彦演じる花村が政治家を落とす手練手管、板倉亮子が宗教団体に潜入するシーン、三国連太郎演じる鬼沢のどす黒い金や生きることへの執念、チビ政たちの悲惨な死に様が印象的。
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