けまろう

祇園囃子のけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

祇園囃子(1953年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

『祇園囃子』鑑賞。『祇園の姉妹』を思い出させる舞妓物語。本作も芸妓美代春と舞妓美代栄の義姉妹が主役となり、旦那文化に依存した祇園社会とそれに託け女性を消費する男性悪に切り込む。
男性悪の象徴となるのが大旦那として祇園街では幅を利かせる企業の重役楠田。取引先の役人神崎に取り入ろうと舞妓を利用しようと画策し、それに抵抗した美代春・美代栄姉妹が事件を起こしてしまう。商売道具として女性を「使用」しようとする直接的な女性蔑視の視点もありつつ、それを受け入れているお茶屋の女将も同罪のように描かれている。
事件をきっかけに干されてしまう姉妹。稼ぎが無くなり途方に暮れるが神崎の要望に応えれば元の生活に戻してやるとの一報が。元々実家が傾いたことから舞妓となった美代栄を思いやり、神崎の元へ向かう美代春。それを知り憤慨する美代栄、なぜ金で買われるのが上手な人が出世する世界なのか、好きでもない人と身体を重ねて欲しくないと。それに対し本当の妹のように大事に思ってるからこそ身体を張ったと応える美代春。涙を流す美代栄。ここに義姉妹としての真の愛情が結実する。これから私が貴方の旦那になると伝える美代春。次世代の美代栄は男性に依存することなく生き抜いて欲しいと願うウーマンパワーの萌芽である。
祇園囃子が鳴る中祇園の街を力強い眼差しで歩む姉妹の姿の美しさたるや。傑作。
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