このレビューはネタバレを含みます
すごく軽やかに展開する映画だが、台詞の情報量と登場人物の多さゆえに結構複雑。増村特有の余韻のなさ、息継ぎの短さ。
登場人物が全員商品のよう。お互いを品定めしていく。自らの価値を説明する。若尾文子と川口浩の男女は、そのような社会に生きる人々とは距離を置くようにクールに振る舞う。
この2人がたどる結末は、冒頭の結婚式とは裏腹にとても明るくて嫌味がない。
あらかじめ決められた運命を歩むというギリシャ悲劇的なドラマでありながらも、決められた運命そのものの価値観をコロッと明るい方向にもっていくことで悲劇を回避する。その物語展開が天晴れ。