イチロヲ

悪魔の部屋のイチロヲのレビュー・感想・評価

悪魔の部屋(1982年製作の映画)
3.0
見知らぬ男(ジョニー大倉)に拉致された富裕層の夫人(中村れい子)が、保身のことしか考えない夫(堀内正美)と義父(内田良平)に怨嗟を募らせていく。拉致被害者となった女性の心の変遷を綴っている、日活ロマンポルノ。笹沢佐保原作。

犯人の実像を開示せずにドラマが進行していくスタイル。ホテル一室のワン・シチュエーションであり、都会の喧騒から隔絶された空間であることを、あらゆる手法で表現している。ヒロインの身体に縄で縛った跡が付いたままになるところが素晴らしい。

ただし、主演女優・中村れい子のロボットのような棒読み演技が擁護できないレベルであり、ロマンポルノの2大ツッコミどころである、「キンタマ蹴らない問題」「コンドーム付けない問題」が大きなノイズになりがち。

ジョニー大倉と中村れい子の掛け合いが記号的かつ静的であり、ドラマの流れの中で鑑賞者に汲み取らせるべき心情を、ラストですべて喋らせてしまう演出にもガッカリさせられる。「女の魔性に負けた男」の悲哀が伝わるところが、せめてもの救い。
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