停滞

トスカーナの贋作の停滞のレビュー・感想・評価

トスカーナの贋作(2010年製作の映画)
4.3
初のキアロスタミ。本物の贋作。
映画は所詮俳優が演技しているもので本物じゃないと言えてしまう、しかし彼らは夫婦と勘違いされいつの間にか夫婦を演じている、演じるということを演じている?さて彼らのOriginは何処へ?

カメラに映るあらゆるものが偽物と仮定すればその元はなんだ?自分の感覚ではあらゆる工業製品はもちろん生物も子孫繁栄のプロセスととらえた時、それはビッグバンに行き着きそうでそんな風に元をたどることがナンセンスに思えて来る。あるものが贋作であるのは正しかろうとも贋作であるのは本質と対立するものでなくむしろそれは脈々と続く系譜の一部であり最先端であると捉えるのが自然に思えて来る。もはや問題はショットやシーンがどう受け取られるかに移行しているのか。差異はそれが類似的最先端としてOriginを感じさせるのか、またはUnOriginを失わせるのだろう。

ゴダールがイメージの乱反射を内側からずらしているのがテーマのようにも思われる。いやよくわかんないけど。
ジュリエット・ビノシュがおめかししてでも突き放されてアンビバレントな表情から窓の外を見ての移り変わりの妙がアングル含めお気に入り。終わり方も文句なし。
停滞

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