もこもも

男はつらいよ 葛飾立志篇のもこもものレビュー・感想・評価

男はつらいよ 葛飾立志篇(1975年製作の映画)
3.9
考古学を専攻する助教授の礼子さんへの恋心を描いた男はつらいよシリーズ第十六作

笑えたり心温まったり
このシリーズが持つ何気ないけど
いいなって思うシーンが多かった
それにラストがめっちゃ良くて
フラれて旅に出るっていう
いつもの展開とは違うパターンで
勘違いの切ない展開が胸に沁みる
今回は"学問"がテーマになってて
「学問があればなぁ」って言う
終盤の寅さんのセリフが胸に響いた
礼子さん役の樫山文枝さん可愛い

「やい!四角いのがおかしいか
 正方形がそんなにおかしか、えっ?
 歯全部むき出しやがってゲタゲタゲタゲタ
 入れ歯だったら落っこちるぞ!
 お前たちはみんな悪魔か」

母が亡くなったことを口にした
順子ちゃんをそのまま返さない為に
とらやのみんながあたふたする姿が
とっても優しくて胸が温かくなる
無一文で飛び込んだ定食屋で優しく
してもらったお雪さんとの出会いも素敵
そっからの寅さんの四角い顔いじりは笑った
さくらが出て行く寅さんを止めるんじゃなく、
お金を渡しながら「また帰ってきてね」って
言うシーンは寅さんへの想いと理解を感じた

"子(し)のたまわく、
朝(あした)に道を聞けば
ゆうべに死すとも可なり"

【意味】
物事の道理を極め知ることが
できればいつ死んでもかまわない、
学問の道はそれほど遠く険しいということ

「考古学ってなんだい?
 親孝行の学問か?」

タコ社長の歌声に「無教育な声だねぇ」って
寅さんが言うシーンやったり、
和尚に教えてもらった諺をめっちゃズレて
理解してみんなに説明するシーンやったり、
人間は考える葦のくだりはめっちゃ笑った
後はまだなにも学んでいないのに
眼鏡をかけて形から入る寅さんにも笑った

寅さんが勉強すると言う事で
近所の人からお祝いをもらったり、
勉強が終わる頃になったら
飲み物を支度したり、
寅さんを心配するみんなにほっこり
写真撮影で眼鏡をかけようとする寅さんと
それを阻止するみんなのわちゃわちゃも好き

綺麗な女の人に弱い警官と
団子食べる時も野球する時もタバコを吸う
ベビースモーカーの教授は癖すごい
年末のみんなの野球も楽しそう
正月残るって寅さんから聞いて
嬉しそうなさくらがほんまに
お兄ちゃん想いで沁みる

教授からプロポーズを受けて
悩んでいた礼子さんの相談を聞いて
失恋したと勘違いして出て行った
寅さんには思わず勘違いやってんで、
って伝えたくて仕方がなくなった
寅さんの勘違いって分かって
さくらが駅まで走るけどすんでのところで
間に合わなかったってのも切ない
結局正月一緒に過ごせなかったね...
ラストで礼子さんにフラれた教授と
楽しそうに旅する姿にじんわりする

「学問がないってことは悔しいよ
 何かしてやろうと思ったって
 どうしようもねぇもんな」
もこもも

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