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ワンダー・ボーイズのuedashinjiのレビュー・感想・評価

ワンダー・ボーイズ(2000年製作の映画)
4.5
まず、エピソードの転がり具合。主要キャラ3人の配置は理屈どおりだけど、空港にあらわれた編集者の連れが赤いコートの美女(男)であることや、盲目の犬の運命や、モンローのジャケット、すごいリーゼントの黒人等々の要素が、投石のようにストーリーに飛び込んできて、その非ロジカルな偶然らしさでコメディ好きをよろこばせつつ、それらの変なものが転がることが、人生の穴にはまり込んだ男が主人公の、ケイティ・ホームズに惚れられるぐらいではどうにもならない中年の危機ストーリーを、励まし、前へ前へと駆動する。

脚本家の映画。犬、ジャケット、薬、かけない原稿、全てがマクガフィンとして機能している(この人がハリーポッターだけを書いていたのは、まあ、ずいぶん勿体無いことだ)。役者が全部面白い。タイミングとその表情だけで、再見、再々見にたえる。

ただ、まあ、なんとなくこの監督は信用できないところがあって、たとえば、マイケル・ダグラスとフランシス・マクドーマンドの重要なふたつの場面で、とうてい許容できないタイミングと音量でBGMが鳴り、これが90年代というものかと思うのだけれど、とはいえ、歌ものの扱いはたいへんよろしく、画面も重厚。

いい映画なんじゃないかと思う。
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