Omizu

ソハの地下水道のOmizuのレビュー・感想・評価

ソハの地下水道(2011年製作の映画)
3.7
【第84回アカデミー賞 外国語映画賞ノミネート】
『人間の境界』アグニエシュカ・ホランド監督がロバート・マーシャルの同名ノンフィクションを映画化した作品。アカデミー外国語映画賞ではポーランド代表として出品されノミネートを果たした。

地味だが素晴らしい実録映画。ホランド監督のしっかりしたストーリーテリングと官能性が合わさった緊張感溢れる秀作。「人間は神を利用してまで互いを貶めたがる」というテロップが深い。

最初は金のためにユダヤ人を匿った子悪党ソハ、しかし懸命に生き延びようとする彼らに絆され本当の意味で仲間になっていく。その過程がリアリティたっぷりに描かれる。

展開は非常に地味だし訪れる危機も規模が小さい。だからこそリアリティが増していると思うし、小市民としてのソハが近くに感じられる。

ほぼずっと地下水道からカメラが動かないので出たときの解放感が半端ではない。地下から這い上がってきた彼らの顔が忘れられない。

地味で苦しい作品ではあるが、ホランド監督の堅牢な手腕が窺える逸品。実話ものということでこれが映画として記録されることに意味がある。ラストのテロップにはそりゃ泣きますよ。
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