42car

ギャングスター・ナンバー1の42carのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

1968年、「暗黒街の貴公子」の異名を持つマフィアであるフレディ・メイズの手下になった男がギャングスターとして成り上がるまでの回顧録。

意外とよくあるプロットで、ギャングという要素を取れば成功者である人の葛藤を描いた物語だと思います。

ボスであるフレディ・メイズに憧れ、忠実に任務をこなしていった彼は組織内で次第に頭角を現していく。右腕とも言える存在になったある日、一緒に行ったバーでフレディが接待の女に本気で惚れてしまったことにより、彼はある種の失恋をしてしまったように思えます。
強い思慕は憎しみへと変わり、ボスという地位を取って代わろうとする欲へと繋がった。ボスとなった本人としては当初から狙っていたことだから遂に上り詰めたという満足感があると思ったのでしょうが、実際のところは理想であったフレディに成り代わるのではなく、認められたかった所が強かったんじゃないでしょうか。

金は稼げてもボスのように自分を慕う人はいない。
自分を定義することもできない。
何時迄も貰ったタイピンを大切に使っているのが印象的でした。
ギャングスターのナンバーワンになった彼に待ってたのは虚しさと虚無感。
彼が本当に欲したのは憧れのボスのNo.1になることだったんじゃないでしょうか。けれどそれを知ることは最期まで無かったようです。んー、いや認めたくなかったのかもしれませんね。最後の叫びにはそんな思いも感じられます。気づくには遅すぎた。

そういえば主人公のカメラへの睨みは『時計仕掛けのオレンジ』を想起せずにはいられませんでしたねー。だからなんだという話ですけど笑
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