死刑執行の器具を作る研究者、「自称・死刑のプロフェッショナル」ロイヒターが、電気椅子、薬物投射機、絞首、ガス室、と追っていく中で、アウシュヴィッツ跡地に行って現地を検証する機会を得る。技術バカで世間知らずの彼は、跡地から薬物が検出されないということだけを根拠に、アウシュヴィッツには「ガス室などなかった」という「ロイヒター・レポート」を発行するが、ネオ・ナチと見なされ世間から激しいバッシングを浴びる・・ナチスとユダヤ人との確執の歴史、アウシュヴィッツへの畏れ、といった人間的常識のない人間の想像力の欠如、愚かさを炙り出すドキュメンタリー。
自分は間違ってなかったとニタニタ笑う顔は冒頭から気味が悪かった。最後の墜落ぶりは可哀そうではあるが、自業自得。最後まで何が悪かったかわかってない無邪気さは、狂気さえ感じさせる。

＠シネマヴェーラ（4/15/2014) 35mm
＊ナチスと映画Ⅱ

なんとなく映画の内容は知ってた。
頭のネジが外れた歴史修正主義者の話だろう、と。
これが全然違っていた。

プライドが高く、職人肌で、合理的なプロフェッショナル。
独自の倫理観があるが相対的に物事が見えていない、
そこらへんにいる中年男。

だからこそ、この男の「言動」は滑稽で、哀しい。
そしてこのウンザリするような気持ちは、
この男の「想像力の欠如」によるものだ。

※「アクト・オブ・キリング」（E・モリス製作）が連日大盛況
らしいので、「エロール・モリス映画祭」かDVDBOXの
日本版出してほしい。
強く希望！

【エロール・モリス】
2010年発、存命する最高の映画監督ランキング 50人 （米誌「PASTE」 2010年）の48位。