一人旅

舞踏会の手帖の一人旅のネタバレレビュー・内容・結末

舞踏会の手帖(1937年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

第5回ヴェネチア国際映画祭最優秀外国映画賞。
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督作。

昔の舞踏会の手帖を見つけた未亡人クリスチーネが、その当時出会った男性たちと再会していく様子を描く。
凍結されていた過去の美しく甘い記憶にすがるように再会を果たしていくクリスチーネ。だが、過去の印象とはかけ離れた男性たちの現在の姿を見て、美しい記憶が脆くも崩れ去っていくのだ。だが一方で、記憶に続きを求めた結果、それら記憶が徹底的にクリスチーネの頭から葬り去られていくことが、彼女が未来を見据えて生きていく決意を下すためのきっかけにもなっていく。美しい記憶が逆に現在の自分自身を縛りつけているという事実に気付き、過去との決別を誓うクリスチーネの覚悟は相当のものだ。だが、個人的にはクリスチーネの行動は不快で疫病神に見えて仕方なかった。クリスチーネは男性と再会したかったのだろうが、男性からしてみれば突然過去に恋した女性が目の前に現れては困惑してしまう。クリスチーネへの恋が成就しなかったことを悔いたり、思わず常軌を逸した行動を男性が起こしてしまうのはクリスチーネの責任でもあるように思えてしまうのだ。
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