昼寝したい

約束の昼寝したいのネタバレレビュー・内容・結末

約束(2006年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

韓国俳優に疎い自分はソノ役の方がいきなり太眉&濃い顔のドアップで映ってきたからもう最後まで引きずってしまった。韓国人は薄顔のイメージだったので。

で、北朝鮮系の小説や書籍をけっこう読んできた自分には、平壌名誉市民の生活やハナ院(脱北者の定着施設)での生活の様子が映像として見れたのはかなり興味深かったです。
また、脱北者は詐欺に遭いやすいこと(脱北前にすでに前約束として韓国でもらう定着金を脱北ブローカーに支払うことを約束させられ脱北してくる人も多いらしい)、脱北者は話し方で北韓出身がすぐバレること、などが描かれていたのも良かった。

ソノ一家は朝鮮食堂で成功したっぽいけど、実際の脱北者は韓国社会に馴染めなかったり、そもそも就職競争が激しい韓国社会では仕事に就くのが難しく仕事に就けても薄給の仕事にしか就けなかったり、共産主義の北朝鮮では仕事を頑張っても頑張らなくても給料が変わらないため韓国で仕事に就いてもサボる人がいたりと、半数ぐらいが職に就けず毎日酒浸りの生活をしたり家に閉じこもったり犯罪を犯してしまうケースもあるそう。(大学進学希望者は政府が学費全額負担してくれるとかで、真面目に頑張っている脱北者ももちろんたくさんいる)
しかし、脱北者の定着金は韓国人の税金から支払われているわけで脱北者を快く思わない韓国人も当然いるとのこと。

疑問点はソノ一家が脱北したことで恋人のヨナは少なくとも保衛員の尋問を受けて監視下に置かれるだろうし、(最悪ヨナ一家収容所送り)脱北は更に困難になったはず。
北にいるヨナに手紙なんか書いたらヨナにどんな災難が降りかかるかも想像できるだろうに、よく何度も手紙出せるなぁということ。
そしてヨナが脱北したことでヨナ家族はおろか親戚一同収容所送りか農村送りだろうし、脱北女性は北朝鮮ブローカーや中国ブローカーにに身体を求められることも多いらしいし(ヨナのような美女であればそんな危険が絶対あったはず)、更に足に銃弾受けるなんて目に遭いながらもただソノと一緒になることだけを考えて脱北してきたヨナ。
そんなヨナの苦労を想像できるであろうソノは既婚を打ち明けられずヨナとデートを重ねて恋人時代の頃のようにキスまでする。
ヨナに既婚がバレたら最低男を演じてヨナに酷いこと言う(そもそもこの「自分を早く忘れさせるため自分が悪役になろう」みたいなのがどうも受け付けない。それやられた方はずっとツライやん。ちゃんと真実をありのまま話して恨むかどうかは相手の判断に委ねさせてくれ)そのままフェードアウトかと思いきやヨナを探し出して妻には何も告げず二人で駆け落ちする。
それでヨナが消えたら何事もなかったかのように家庭に戻り子どもも作って幸せ家族を続ける。ちょっとひどすぎやしませんかね。
海辺でハートの形作って「こうやって桃みたいにするのが韓国では愛してるって意味なんだ。君もやってみなよ」って笑顔で言ったときは海に突き落としたい衝動に駆られてしかたなかった。

ソノに思いっきり未練残させたまま消えたヨナはグッジョブ。
担当刑事との結婚写真はぜひ満面の笑みで写ってほしかった(北に残した家族のこと考えるとそれも無理か)。
ヨナには絶対に幸せになってほしい。そしてソノ、これからは奥さんのことちゃんと大事にしてほしい。(朝鮮食堂の開店資金、大部分が奥さんの貯金じゃない?飲食店のノウハウだって奥さんから教えてもらったんでしょ。「自分には資本主義が向いてるようだ」って笑って言ってたけど、全ては奥さんの助けがあったからでしょうに)
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