いとJ

惑星ソラリスのいとJのレビュー・感想・評価

惑星ソラリス(1972年製作の映画)
5.0
難解とされているので気後れしていたのですが、第1部はあまりの静けさ、進行の遅さが眠気を誘うものの、第2部は設定が明らかになって、かなりおもしろかったです。2部構成にした意図は全然わかりませんが……。

タルコフスキー監督はSFの巨匠ではありますが、宇宙船や機械に興味があったわけではなく、非日常を設定できる点に創作意欲をかきたてられたそうです。だから本作も、なぜソラリスの海が生命に近い活動を……とか、どのように記憶を物質化しているのか……というような、物理や化学の知識を動員させなければならないようなシーンは描いていません。あくまで、「こんなことがあったら、どうなっちゃう?」という感じに、人間が問題の中心です。

ですから、サイエンス・フィクションというよりは、フィロソフィー・フィクション(そんなジャンルがあるのかどうかわかりませんが)といったほうがしっくりきます。科学的実証性に基づいて謎を解き明かしてくれるのではなく、ほったらかしのまま後味の悪いエンディングを迎えるので、難解だと言われているような気がしました、、、。
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