むぎ

セルピコのむぎのレビュー・感想・評価

セルピコ(1973年製作の映画)
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「この世には是正されなければならない悪が多すぎる」と言わんばかりの強い正義への衝動に突き動かされ、それに対し唯従順に生きるのってどうしてこうも難しいのか。所詮はそんな正義感なんて横に置いといて、たまには誘惑に流された方が楽に違いないし、物分かりのいい奴になった方が出世もする。断固として正義を貫くと組織では孤立し、敵をつくる一方だ。それでも俺は間違ってない。政治はすべて腐っている。全てを黙認する上層部こそが悪の根源なのだ。怒り狂った挙句に我を見失う。何が俺をここまで突き動かすのか? マトモな奴は俺だけか?
セルピコの髪や髭、服装にも彼の思想があり、そのスタイルをひたすらに貫く彼に(そこまでの威厳はないにしろ)自分と同じ影を見なくもない。フジテレビをはじめ、悪事を容認してきたこの業界にも同じ末路を辿っていただきたい。まともな顔で生きるには、この世には是正されなければいけない悪が多すぎるのだから。
社会派ルメットおじさんの映画を毎日色々見ようと思っていたのに、ここにきて70-80年代のあるぱっちがひじょうに格好いいという一つの大きな事実に気付いてしまいこれは大変かもしれない…
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