イチロヲ

盲獣のイチロヲのレビュー・感想・評価

盲獣(1969年製作の映画)
4.0
触覚芸術を謳う盲目の芸術家(船越英二)が、美しいヌードモデル(緑魔子)を拉致監禁してしまう。江戸川乱歩の同名小説を題材にしている、エロティック・サスペンス。筆者は原作を読了済み。

原作は「場の移動」が多い犯罪劇だが、本作ではアトリエを舞台にした密室劇になっている。またヒロインの個展シーンに登場する作品群は、緑魔子の写真集「悪の華」からの引用であり、今でも古書店で入手することができる。

後半部に入ると、ウーマンリブ精神を抱えるヒロインと母に束縛されている童貞芸術家の、性倒錯のドラマへと転調。「性を探求すること=死地へと近づくこと」の法則を暗示させていくトンデモ展開が面白い。

触覚芸術で造り上げた彫刻が普通の彫刻家が造ったそれと大差ない、という難点が見受けられるが、船越英二が緑魔子の艶めかしい肢体をねちっこく弄りまくるため、自分の触覚へと脳内変換させながら、エッチな鑑賞を捗らせることができる。
イチロヲ

イチロヲ