フィリップ・ガレル監督の作品の中では、かなり好きな映画。写真家のフランソワと女優のキャロルとの深くて悲しい恋愛を、モノクロでヌーヴェルヴァーグ風に描いている。話そのものは現在なのにも関わらず、精神病院での描写とか前近代的なのも興味深い。
なんと言っても印象的なのは、キャロルを演じたローラ・スメット。今まで見た映画の中では脇役というイメージしかなかったが、本作では主演として、キャロルの段々と狂気じみていくフランソワへの想いを見事に表現している。彼女の表情を見ているだけでも十分に満足できる。特に、フランソワからの連絡が途絶えて身悶えしているときの仕草とか、付き合っている人がいるとフランソワに打ち明けられたときの表情とか、見ていてゾクゾクしてしまう。早朝に裸のままでキャロルの部屋から立ち去らなければいけないフランソワも可哀想だけど、こんな魅力的な女性を愛せなければ男ではないと思ってしまう。そういう意味では、最後の結末は納得。