常に目の届くところに犯人がいるって、こんなに怖いんだ!
しかもその犯人は霊的なものでも凶悪犯でも獰猛な生き物でもなく、スズメ、カラス、カモメといった人を襲うはずのない鳥が、群れをなして襲ってくるというもの。
元々凶暴な生き物に襲われるより、温厚な生き物が凶暴化する方がはるかに怖い。
世界中にいる千億の鳥がその気になれば、人類は絶体絶命なのか。
画作りも最高。
真昼間のシーンでも、観客を戦慄に陥れる。
それから、セットだけでなくロケのシーンでの鳥も丹念に合成されていて、今となってはアナログな手法でも、凄まじい画になっている。
また、巧く描かれているのは、不吉、不安、恐怖だけでなく、ミッチとメラニーのロマンス要素や、ミッチの母とメラニーの深まる仲など、それぞれの人間関係も丁寧に描かれていて面白い。
原因は、メラニーという女性なのか、愛の鳥なのか、この村なのか。
「説明のつかないあり得ないことが起こると、人間は特異な人間を疑ってしまう」という心理描写を欠かさないのも、注目して観たいところ。