Masataka

二百三高地のMasatakaのレビュー・感想・評価

二百三高地(1980年製作の映画)
3.5
太平洋戦争の映画は数あれど、比べて日露戦争映画は驚くほど少ない。そんな日露戦争を真正面から描いた1980年の東映の大作。色々と力が入りまくってる。タイトル通り、凄惨を極めたという旅順攻略戦がメインだが、物語は開戦前の政府内の動きから始まって日露戦争全体の流れが追える。
一時休戦時にさっきまで殺し合っていたロシア兵と日本兵がタバコや酒を交換し合ったり、弾がなくなって石ころを投げ合ったり、第二次大戦以降の戦争には決してないようなところも新鮮で面白かった。思えば日本はこのちょっと前までは侍の時代だったのだ。途中で突然さだまさしの歌によるインターミッションを挟んで3時間。充分に見応えはある。
出演は仲代達矢、丹波哲郎、森繁久彌、三船敏郎…名優オールスターといった趣きの中、夏目雅子の美しさがもう、途方もない。なんだろうあの人。透明感なんてもんじゃない。向こう側が透けて見える気がする。一方であおい輝彦の濃い顔は最初うざったいけど段々クセになるというか、1日1回あおい輝彦の顔を見ないと眠れなくなりそう。

莫大な制作費をかけたこともあってたくさんのエキストラとたくさんの火薬で戦争映画としての派手さを出しつつ、個人の兵隊にスポットを当てたミクロな目線もあってバランスがよくシナリオがいい。就中、日露戦争後は軍神と称えられるようになった乃木希典や、児玉源太郎を弱さを持った1人の人間として描いているのが印象的だった。
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