マリリン

山河遥かなりのマリリンのレビュー・感想・評価

山河遥かなり(1947年製作の映画)
4.5
【ナチスによって傷付いた少年と一直線な米兵の交流】
涙、涙なしでは語ることが出来ない作品。ナチスによって強制収容所に入れられた子供たち。米軍に保護されても、彼らにとっては大人というだけで恐怖だ。そこにナチスやアメリカなどの国境はない。大人は大人なのだ。母と離れ離れになってしまった少年はトラウマにより失語症に。自分の名前も国籍も家族についても話すことはない。米軍側は彼を癒そうとするが、全てが空回り。そして彼は恐怖のあまりに逃げ出してしまう。少年にとって寄り添ってくる大人は敵である。誰も信じられない姿や、救急車を見ると逃げ出してしまう様子などがいかにナチスによる迫害が彼の心に深く根付いていることがわかる。(救急車でガス室送りにされた人々を見ていたらしい)
逃げた彼を保護するのがモンゴメリー・クリフト演じる米兵のスティーヴ。無骨さと優しさが見事に調和した青年。クリフトはやっぱり素敵。「ハリウッドの反逆児」とされるマーロン・ブランドやジェームズ・ディーンとは違う鬱積した闇は少なく、光がある。
スティーヴが少年に英語を教えたり、少しずつ心を通わせていく姿は涙、涙…。何度も言うけれど、モンゴメリー・クリフトは本当に素敵!
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