歩道

吉原炎上の歩道のネタバレレビュー・内容・結末

吉原炎上(1987年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

何度目かの鑑賞だけど、相変わらず完璧な映画だ。

男女の情念渦巻く吉原で何も知らない19歳の生娘が、吉原の流儀のなかで御職をはるまでに成り上がってゆく。
この場所での欲しいものは全て手に入れるも、それと同時に自身の本当の気持ちを知る。しかし、その思いは果たせぬまま…その切なさが沁みる。名取祐子の表情がいちいち美しい。

春夏秋冬の章立てでキャラの立った遊女のあとさきを見せる構成もいい。
二宮さよ子(年季があけ、誰にも見送られずに吉原を去る)、藤まりこ(遊女の自分を卑下し、剃刀で自害)、西川峰子(病気&色狂い。ここ噛んで!熱演!)、落ちてなお温かい心根のかたせ梨乃の矜持…。
遊女のだらしなくも色気のある着物や着こなしや、廓の人々の半纏もよい。

あと、岸田今日子のナレーションはやはり素晴らしいな。あの声でなければ始まらないドラマがある、と思う。
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