はせしゅん

FAKEのはせしゅんのレビュー・感想・評価

FAKE(2016年製作の映画)
4.4
最高でした。見てほしい。というより「見ないといけいないだろう」「見てくれ」という作品。

良い点がいくつかあって

①世の中に対する、特にマスコミに対するアンチ的な意味合い。
昨今「週刊新潮」「週刊文集」などの週刊誌を筆頭に文字通り最高のゲスとも呼べるマスコミによる報道とそれに付随するTV番組や日本中で起こる「悪ノリ」がはびこる中でこの作品の持つ意味。
本当にひどい。「世の中の悪ノリ」これで傷つく人がいること。多数派が常に正しいとしている民主主義の悪しき部分にも感じた。
新垣氏がバラエティー番組に出て「悪ノリ」で佐村河内氏をイジル所TVで見ている佐村河内氏の場面ではこっちまで憤慨しそうになった。

②佐村河内氏の妻との愛
どんな状況でも「実は妻が黒幕」みたいな記事まで出ている中でそれでも信じて共に頑張っている姿とお互いに気持ちを伝え合う場面では号泣してしまった。「FAKE」というこの映画において二人の愛こそ「TRUE」であると感じた。

③真実はグレーである。
「佐村河内は作曲できないのか?」「耳は聞こえないのか」(医学的な答えは示されている。というよりずっと公表されていたが...)「新垣は嘘つきか?」など様々な疑問があるが?明確な答えはでない。出ていてもこの映画においては佐村河内氏の言っていることが真実である(信じたい気持ちになる)が。それもまた一方面からの真実。
そして最後の場面のモヤモヤ感からも分かるように、真実はグレーで多方面で客観的なモノの見方をしなければならないということも突きつけられる。

長々と書きましたが。素晴らしいドキュメンタリーでした。こんな日本のドキュメンタリーが増えていけばいいのにと思います。