はせしゅん

劇場のはせしゅんのレビュー・感想・評価

劇場(2020年製作の映画)
4.5
劇場

売れない劇作家の男と女優の夢を抱いて上京した女の子との
恋愛映画であり心を抉るタイプの映画でもある

主人公は普段は爽やかイケメンの山崎賢人なのだが
本作では見窄らしいクズ男を演じている。

彼女役にはバライティもイケる本当に器用な女こと
松岡茉優 が演じている。

今作を一言で表すなら自分を才能のある劇作家だと過信して
他とは違うんだと情緒不安定男と
底抜けに明るく主人公をすごいと言い続ける傍目にはだメンズ製造機のバカ女の
行く末を描いた映画である。

全体のストーリーは映画#何者 に少し似ている。
何者の主人公が就活せずに夢だけを追って虚勢を張り続けたら
という感じのようにも思える。

クズでヒモ男が明るい彼女に癒されながらもそれが神経を逆撫でしていく描写は見ていて共感してしまう。
彼女と一緒に暮した空間が最初こそ楽しかったが
だらだらと生きる日々で彼女に対しての負い目を感じる
息苦しい空間に変わっていく。

夕方に起きて創作の為と街をフラつき仕事をしたつもりになってるだけの日々。
彼女が肯定してくれることでしか自分の価値を保てない。

彼女を舞台に出して彼女の演技で客足が伸びたが
彼女を使うことをやめた場面もそうだし
クリントイーストウッドを褒めたり
ディズニーに行きたいと言う彼女に
俺以外の作品を褒めてほしくないと言う場面でも

何様のつもりだとツッコミを入れたくなる

それでも彼女は褒める。


腹の底では自分には才能がないと理解しているが
自分の才能を否定したくないし己矛盾に苦しんでいく姿に心が抉られます。
唯一自分を肯定してくれるのは彼女だけ。
それだけが自分の誇れるものだったのだから。

自分の勝手都合で一人暮らしして癒されたくなる時だけ
お酒を飲んで気が大きくなった時だけ彼女の家にいく。

そして気付いたら彼女の人生を壊していく。
彼女は酒と他の男に逃げるようになる。

そして次第に二人とも夢と恋愛から
時間と残酷な現実見つめるあい。成長していく。

最後の方に一人でポツンとこぼす
「いつまでもつか」この台詞はガツンときました。


このコロナ時代において踠いている人にこそ見て欲しい作品でした。