へちまびと

バトルシップのへちまびとのレビュー・感想・評価

バトルシップ(2012年製作の映画)
3.8
派手さ、馬鹿さ、熱さのバランスが奇跡のトライアングルを描いたハリウッド映画完全栄養食といった感のある作品。

古典ゲーム「バトルシップ」が待望の映画化!と聞くと「だれも待ってねえよ!」と思ってしまうが、ネットでのカルト的人気を見ればわかる通り、もはや本作がゲーム原作の映画だと覚えている人はいない。

一言でいうとトップガンのような軍事系青年成長アクション映画なのだが、そういう過去作の劣化版になりがちなところを、「スマートな現代兵器で歯が立たない相手に対し、力押しの旧式兵器で殴り合いを挑む」という、男の子なら熱くならずにいられない展開の導入で見事に「別物」として昇華させた。

トム・クルーズも好きらしく(いかにも好きそうだ)、「だが、今日じゃない」というセリフはトップガン・マーヴェリックでしっかりオマージュされている。

本物の戦艦ミズーリの元乗組員を招集するあたりはアメリカ国民でなくても鳥肌が立つ。CGも含めとにかく派手。「こんなもんで戦艦が沈むか!」など、いちいち台詞が熱いのも良い。

正直細かいところのディテールは賢いオランウータンが書いたのかと思うレベルだが、大筋は映画にとって大切なところをしっかり押さえている。
映画には「映画としての正解」があるのだ。
それは必ずしもリアルであるということではないのだ。