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東京流れ者のHKのレビュー・感想・評価

東京流れ者(1966年製作の映画)
3.5
「ト~キョ~な~がれ~もの~♪」
渡哲也が歌う主題歌シングルは38万枚売れたとか。
清順美学が開花したと言われる『野獣の青春』の3年後の作品ですが、序盤の構成から『野獣の~』にソックリ。
導入部はモノクロで始まり、渡哲也が銃を撃つといきなりカラーになったり、モノクロ画面の中ピンポイントのパート・カラーだったり、タイトル文字はまたも鮮やかなパステルグリーン。

元ヤクザの倉田組は解散し不動産業に転身するも、対立する組織が裏社会から足を洗わせてくれず、元組員の渡哲也は罠に嵌められた組長の罪を被り恋人の松原智恵子とも離れて逃亡生活を送ることに・・・

ヤクザの主要メンバー3人の呼び名は“不死鳥の哲” (渡哲也)、 “マムシの辰” (川地民夫)、 “流れ星の健”(二谷英明)。
渡哲也(当時25歳)も松原智恵子(当時21歳)もまだ若くて可愛らしい顔。
歌う松原智恵子は珍しいと思ったら、シングル・レコードを何枚も出してるんですね。知りませんでした。

歌いながら敵の前に姿を現す渡哲也は『人造人間キカイダー』のギターのジローなんかを思い出します。
これはもう歌うヤクザ映画。なかなか面白いんですが、話の展開はちょっと雑。

渡も松原もやたらヘア・ドライヤーで髪をセットするシーンが出てきますが、たぶんスポンサー(日栄電気産業?)の商品なんでしょう。後の『殺しの烙印』でもスポンサーのパロマの炊飯器が何度も登場してましたね。
ちなみに2人は同年公開の『続・東京流れ者/海は真っ赤な恋の色』でも共演しています。監督はやっぱり清順じゃありませんが。

真っ白のセットに赤・黄・青の色鮮やかな照明が映える清順独特の映像美。
本作の後、『けんかえれじい』を挟んで、業界から干される原因となる翌年の『殺しの烙印』まで既に秒読み段階に入った時期の作品です。
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