とくとみろか

トゥルーマン・ショーのとくとみろかのレビュー・感想・評価

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)
3.8
一言
リアリティ番組が極まった世界

感想
生まれてからずっと自分の人生を隠しカメラで撮られ、TV番組で放映されてきた主人公のトゥルーマン。奥さんや友人、上司もすべてキャスト。家も世界もすべて巨大なセット。そんなことはつゆ知らず暮らしていたトゥルーマンだったが、あることがきっかけで自分の身の回りの不可解さ、違和感に気づきだす。

設定がとても面白い。リアリティ番組を壮大にしすぎた版のような。人って、私も含めなんであんなにリアリティ番組が好きなんでしょうね。人の生活を盗み見る感じが面白いのか。トゥルーマン・ショーも超人気番組で、みんなトゥルーマンの行動をTVごしに食い入るように観ている。

わざとらしくココアを紹介したり(CMのため)、雨がトゥルーマン上空にしか降らなかったり、TV番組のセットの中での現実であると視聴者がわかるような演出がちょいちょい入るのも面白い。

すべて虚構だけど完璧に守られている世界と、すべてリアルで自由だけど、誰も守ってくれない世界、どちらの方が幸せなのだろうか。

守られている世界しかしらないトゥルーマンは、もちろん自由を欲するのだけど、リアルな世界にシナリオはない。関係する人々だって、全員が自分に好意的なわけがない。ちゃんとリアルな世界で生きていくだけの逞しさは、今真の世界を知ったばかりのヒナである彼にはないんだろうなあ。

彼が明るく正直な人間だからこそ余計に、唯一信頼していた親友までもが完全にキャストだったのは可哀想だった。
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