Tully

トゥルーマン・ショーのTullyのネタバレレビュー・内容・結末

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

トゥルーマンは、どこにでもいる平凡で善良な男。しかし、彼の人生は、隠しカメラによってTV番組 「トゥルーマン・ショー」 として誕生から30年近くになる今日まで、その姿を世界中に放送されていた。家族や友人を含めて人生が全てフィクションだったと知った彼は、現実の世界への脱出を決意する。映画の魅力はまず、脚本の力が大きいです。自分のものだと思ってきた人生が実の所、すべて脚本で作られていて、家族との楽しい時間も恋人とのひと時も、親友との悪ふざけもすべて誰かが作ったもの。まさにグリム童話も真っ青な残酷で無気味さを秘めた話です。テレビや情報産業の持つ力が、人の人生でさえ 「トゥルーマン・ショー」 のように作ってしまうことが可能であるという、使い方を間違えると恐ろしいことになりかねないものであることを感じさせます。まさにブラックなドラマと言いたくなるような作品です。そんな一筋縄ではいかぬ、脚本にリアリティを与えているのは、なんといってもキャスト。特にトゥルーマンを演じたジム・キャリーとクリストフを演じたエド・ハリスでしょう。特に、ジム・キャリーの演技はこの人がただのコメディアンではなく、きちんとした演技力を持ち合わせた俳優であることを認識させます。自分の人生が虚構のものであることを知った時の困惑と悲しみ、そして未知の世界に出たいともがく姿まで、まさにトゥルーマン=ジム・キャリーと言える見事な熱演です。私は、ジム・キャリーというと 「マスク」 の人というイメージしかなかったので、この映画での演技には驚きました。そして、そんなジム・キャリーと張る演技を見せつけたのがエド・ハリス。この人、すべてにおいてインパクトがあります。「トゥルーマン・ショー」 を考えついたプロデューサーにして、トゥルーマンの全てを知る人間クリストフ。まさに全能の神のごとく、平然と番組を作り続ける男の得体のしれない無気味さが強烈です。特にそのイメージが強くなるのは、現実の世界で、クリストフが独占インタビューを受け、番組の趣旨と制作を語るシーンです。このシーンでのエド・ハリスの演技には、見ていて正直ゾッとさせられました。コメディーと銘打たれてますが、その上に「黒い」という形容詞をつけたくなるような展開が強烈な一本。私は、脚本が凝っていて面白いと思いましたが見る人で評価が分かれそうな作品です。
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