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キャリーのJOURNEYのレビュー・感想・評価

キャリー(1976年製作の映画)
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 悲しい、とても悲しい、キャリーへのいじめは観ていてとても切ない、そして腹が立つ、さらに厳格なキリスト教信者の母マーガレット・ホワイト(パイパー・ローリー)からも虐げられ、学校でも家でも居場所のないキャリーがとても可哀想。

 キャリーは、ちょっとおとなしいだけの少女、純粋なだけの少女なのに、悪戯だと知らずに、プロムでキング&クイーンに選ばれ、舞台に上がったキャリーに心の底から拍手を送りたくなる、ホラーなのに涙が出てくる。

 何よりブライアン・デ・パルマの映像マジックに酔いしれる、プロムの舞台上でキャリーが純粋無垢で本当に幸せそうにしているシーンを、これでもかと映し、溜めて溜めて~からの地獄へ叩き落す、ピンクのドレスが血で染まり真っ赤なドレスに変わってからのキャリーの姿の怖さに精神的にヤラレます。

 デ・パルマ・カットと呼ばれる “スプリットスクリーン (画面分割)”、“長回し”、“スローモーション” すべての映像テクニックを駆使して、いじめっ子達を成敗する様子を描き、修羅場と化したプロム会場のパニック感をこれでもかと盛り上げている。

 しかし、悲しいかなキャリーは良い人悪い人、皆殺し、無実の人まで無差別に殺してしまう切ない復讐劇。

 唯一生き残ったスー・スネル(エイミー・アーヴィング)がキャリーの墓に花束を捧げて涙を流す、静かなエンディングに見せかけて~の、まだ終わってないよ~的なラストシーン、生き残って悪夢にさいなまれるスーが最も重い罰を背負う事になったのかも、今ではお約束みたいになってるけど、元祖かな?、ホラー映画は最後の最後まで油断したらアカンよって教えてくれたんわ。

 出演キャストも豪華で当時まだ無名だった、ウイリアム・カット、エイミー・アーヴィング、ナンシー・アレン、ジョン・トラヴォルタと今となっては贅沢な面々、驚きなんが皆んな10歳近くサバ読んで高校生を演じてる、キャリーを演じたスペイセクは当時28歳、アラサー女子が思春期の繊細な女子高生を違和感なく演じた事自体ちょっぴりホラーだ、この名演で母親役のローリーと共にアカデミー賞にノミネートされてます。

 後にも先にも、ホラー映画のジャンルを超えた良作は本作だけかも知れない。
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