松井の天井直撃ホームラン

女舞の松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

女舞(1961年製作の映画)
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☆☆☆★★★

※ 鑑賞直後のメモから

日本映画伝統の芸道映画の秀作。
監督は大庭秀雄。

孤島の天才能楽師にして稀代の女たらしには佐田啓二。
芸道を極める為に、天才の芸を盗もうとするも。逆に骨抜きにされてしまうのが、美人舞踏家元の岡田茉莉子。
彼女のお弟子さんには岩下志麻。
岡田茉莉子を支援するのが宮口精ニ。この男が岡田茉莉子の結婚相手に推薦するのが仲谷昇。
しかし、岡田茉莉子は佐田啓二に狂ってしまっているので。それを知った仲谷昇は、お弟子の岩下志麻と仲良くなる。

作品中に登場する能の舞が《葵上》
不勉強の為に、女の恋の情念を表している…であろうこの舞を知った上で鑑賞出来たのならば、より面白く観れたのでしょうが…。
それでも、ドンドンと佐田啓二に入れ込んでしまい。恋に狂い始める岡田茉莉子がとても良い。
佐田啓二の女たらしっぷりも堂にいっており。女に対するその冷たさで、恋の主導権をサクッと握ってしまう辺り。まだまだ息子の中井貴一には、これ程の艶っぽさが出せてないのは残念。

後半になると、宮口精ニが支援者らしく2人を見守る渋い演技を披露。以前から口では佐田啓二を罵りながらも、その実力を認めていただけに。2人にとっての良き理解者となる。

恋に狂う美人舞踏家とツンデレ(死語💧)天才能楽師の話は。最後の舞台に際し一気に、それまで作品の中ではっきりと描かれなかった仲谷昇と岩下志麻の不倫関係。佐田啓二と元関係があった五条家との関わり。金沢へ引っ込んだ際の愛人らしき女等。多くの不安要素を、ご都合主義宜しく。あっとゆう間に強引に、且つ単純に終わらせしまうとは。大庭秀雄監督の職人技が冴えに冴えていた。

2010年12月29日 ラピュタ阿佐ヶ谷