たき

太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男のたきのレビュー・感想・評価

4.0
とりあえず、若干タイトルがおざなりにもほどがあるんじゃないかと思わんこともないのですが、まあそれは。

どちらも、もう誰も死なせたくないし、殺したくないのに、なにをどう手を尽くしても誰かが死んでゆく。
つくづく、ひどいもんですな、戦争って。
大場大尉の、ルイスへの最後の言葉が刺さります。

切腹を思いとどまる兵士に遭遇するシーンからこっち、大場大尉が画面に映るだけで涙目になっちゃう謎現象が発生。

自尊心や復讐心。なにより、天皇への忠誠心。
言うまでもなく、当時のアイデンティティのほぼ全てだったとはおもうのですよね。誰もが。それは無論、大場大尉とて同じことで。
そういった諸々をそれこそへし折れんばかりに歯を食いしばって耐えて忍んで抑え殺して、よくぞ、決断したものだと。

死ぬのは簡単だし、怒りや憎しみに身を任せてしまうのってむしろ気持ちいいさえある。
だから戦争って、なくならないんだろうし。
そんな誘惑をばっさり振り切って、いちばん大切なものだけはちゃんと守ろうとした姿にもう、気がついたらギャン泣き不可避でした。

竹野内豊が、竹野内豊史上最もかっこいい竹野内豊。
ルイスたちとたったひとりで対峙するシーンとかなんか、もう、こういうのを神懸かってるというのでしょうか。
たき

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