三樹夫

美少女戦士セーラームーンRの三樹夫のレビュー・感想・評価

3.7
セーラームーンシリーズの初劇場版。監督はシリーズディレクターも務めた幾原邦彦。
当時大ヒットしていた『美少女戦士セーラームーン』だが、女の子だけではなく男の子にも思い切りぶち刺さっていた。作品のフォーマットが戦隊ものの美少女版であるし、あまり殴り合いはせず流麗な作画バンクで必殺技をぶっ放すという『聖闘士星矢』の系譜でもある。ちなみに『美少女戦士セーラームーン』のその後の系譜として『美少女戦士セーラームーン』+『ドラゴンボール』のプリキュアシリーズがある。プリキュアは『ドラゴンボール』の監督が初代を担当したというのもあり肉弾戦が多い。『聖闘士星矢』、『ドラゴンボール』、『美少女戦士セーラームーン』とどれも東映アニメーションの大ヒット作品で、ヒット作品の要素は脈々と受け継がれている。また『美少女戦士セーラームーン』も声優が叫びまくっており東映バトルアニメの流れに乗っている。後は単純に誰かしらのキャラを好きになるというのが大きい。私はまこちゃんとはるかとみちるさんが好きです。
女の子が背伸びするところに丁度あるというようなアニメで、ピアスをしていたり、年上の男と付き合っていたり、化粧感や服飾感など、女の子が背伸びして憧れるだろうというものを取り揃えて提示している。この映画のセーラー戦士の私服がボディコンだったりフレンチカジュアルなど当時の流行を入れているし、TV版も私服が毎話ごとに変わっていた。早く大きくなってこういうことしたい、こういうアイテム取り揃えたいというのを刺激するかのようなアニメだ。また玩具展開も出来た上にメチャクチャ売れたというのもあり、色々な要素が上手くはまっている。
ギャグは『きんぎょ注意報!』を引き継いでいるというか、スタッフがほぼ一緒というのもあり、ギャグはTHE90年代アニメのテイストでスプラスティック。

初代セーラームーンはメインの劇場版が3つ作られているがオタク向けの裏テーマがあり、この映画はBL、次作はケモナー、3作目はロリコンとなっている。
この映画は誰かを愛するということはその人を独り占めして孤独な誰かを生み出すことになるのかという、テーマは孤独と博愛になっており、孤独を抱えていたフィオレはキセニアンに寄生されたが、セーラー戦士とタキシード仮面も皆孤独でうさぎに出会わなければキセニアンに寄生されていてもおかしくなかった。そこに能天気バカのうさぎというキャラクターを上手く絡めたいい決着だったように思う。孤独の痛みを引き受ける女神のようになっていた。回想シーンは、うさぎめっちゃいい奴やんと涙する。

幾原邦彦はTVシリーズでも車の排気口のアップのリピートなど独特の演出をしていたが、この映画でもうさぎの息止めのシーンでやってるなとなる。銀水晶を鷲掴みにされるシーンはとてもセクシャル。
小惑星でのセーラー戦士がうさぎに話しかけるシーンなどでは、これが映画演出であれば例えばレイだけが話して他の3人は表情のみという演出になると思うが、毎回4人均等にリレー形式でそれぞれ台詞があるところはマンガ映画の演出であると思う。子供向けのプログラムピクチャーとしてしょうがない部分ではあるが。
後、様式美の副作用として当時としてもセーラームーンは古いところがある。それを自覚してるのでギャクにしたりもしている。時代劇調の口上だったり、まこちゃんのスケ番像だったり、葉っぱ加えていたり、絶対片腕疲れるだろうという鞄の持ち方だったり。もちろん様式美的な安定感と楽しさはある。

うさぎと衛はお互いに、まもちゃん、うさこ呼びと、正直この呼び方してるの結構バカップル。実は中学生と大学生のカップルとかなりヤバい。
フィオレというヤンデレBLマン。声優もBLボイスを持つ男緑川光と盤石の布陣。うさぎと衛が付き合っていると、衛を盗られたと孤独と嫉妬に苛まれるのがヤンデレ度が高い。「君の目を見て分かった、君が僕を呼んだんだね」とエッチ。薔薇を一輪受け取るのもエッチ。病室で一緒に寝るのエッチと、心にBL薔薇が咲き乱れる。
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