スローモーション男

やさしい女のスローモーション男のレビュー・感想・評価

やさしい女(1969年製作の映画)
3.9
 ロベールブレッソンがドストエフスキーの短編小説を現代のパリを舞台に映画化した作品。

質屋に勤める中年男と若く貧しい少女が結婚し、質素な暮らしをしながら愛が崩壊していく様子を描く。

さすがブレッソン。シネマトグラフに特化し、登場人物が無感情で音楽はほとんどなし、そしてト書きのナレーション。
それでドストエフスキーの原作をこんなにも質素にしてしまうのが凄いです!

今回は職業俳優ではなく、プロの俳優を起用しています。少女役のドミニクサンダはこれが映画初デビュー!すごい存在感です!

愛を疑ってしまい、信用しない男の不信感から悲劇が起こってしまうというよくある出来事を敢えて描いています。男の人で恋愛表現ができず、パートナーを嫌われていると疑うようなことをする人はよくいると思います。
 ブレッソンはインタビューで愛の力は壮大と言っています。ふたりとも愛しているのに、表に出さないふたりがどうなってしまうのかを繊細に描いてくれます。

正直、睡魔に襲われるほど無感情な映画です。ブレッソンの作品ではめちゃくちゃ好きな映画ではなかったです。
とにかくナレーションで語ってしまうので、画面に集中できなかったことが多いです😅