りっく

3時10分、決断のときのりっくのレビュー・感想・評価

3時10分、決断のとき(2007年製作の映画)
4.5
片方は世に突出した銃豪で教養あるダンディな男。片方はいつも傍観しているだけで息子からも軽蔑される平凡な農夫。対極にいる2人の男が護送される側とする側とという関係性から、友情を交わす様に泣かされる熱きドラマ。

西部の暴力が蔓延る無法地帯だからこそ、ただ傍観する男の崇高さが浮き彫りになる。嘘偽りなく、誇れる生き方とは何なのか。利害関係などとは別次元で勇気を持ってそれを実現しようとし、そんな男の決意はもう1人の男の心を震わせる。

そんな2人の男の関係性を理解できない部下たちと、そんな男たちの誇らしい生き方を継承された息子。彼が牛を放って2人を助ける場面は、まさにカウボーイとして家族の大黒柱になる決意を感じる。息絶えた父親を抱きしめ、男を乗せた列車は汽笛を上げて去っていく。なんと美しい映画だろうか。
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