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リアリズムの宿のogierのレビュー・感想・評価

リアリズムの宿(2003年製作の映画)
3.7
上手く廻らない頭を必死に使うのは自分自身のためでしかなくてそこに偶然居合わせた他人を使う事によって成り立つ世界
個人主義の思想は孤独をも忘れさせ嘲りとプライドをその美学を持って見せつけられる
雪が積もる西の丘、人の優しさや温もりの裏側を見透かした様で何もかもが茶番劇だとわかってしまった時、もはやそれを笑う事だけでやっと救われるのだった
実らない欲望は側から捨ててそれでも自分には最も正直に旅の本質を見つめる
予想外の友情は冒険を生み現実的な悲壮感は共感を生む
雪に残った三人の足跡はやがて溶けて消え去り何事も残らずに記憶から消えてゆくのだろうか
あの死にかけの老人も潰れかけの汚い宿も無神経な人々の食卓も使えない英語もあの時感じた確かな幸せは本物だったのだ。
何故なら隣には共感できる他者がいたからに違いない
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