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リアリズムの宿の8bitのレビュー・感想・評価

リアリズムの宿(2003年製作の映画)
5.0
大好き。何度観ても、引き込まれちゃう。
〝気まずさ〟をここまでリアルに描いた映画ってある?

これ、一見自然体のユル~い感じの映画だけど、実はすごい考えて、計算して作ってると思う。
言葉の自然さとか会話の間とか、ひとつひとつのシーンの流れとか、構成とか構図。いちいち美味で。

お互い顔見知り程度、ろくに会話もしたことのない男同士が冬のド田舎で一緒に旅をしなきゃいけないっていうシチュエーションから気まずさ全開。
年上と年下、リア充と童貞、映画制作に関するマウンティングなど、お互い探りを入れつつ、少しずつ打ち解けてくる様子がなんともリアル。
行く先々で変な人々に遭遇したり、田舎特有のグルーヴに翻弄される二人にクスクス笑いが止まらない。
なんだか二人と一緒に旅をしているような気持になるし、会話にも思わず参加したくなってくる。
途中で合流する謎の女の子〝あっちゃん〟の存在感もまた良いです。ラストに明かされる彼女の正体にびっくりだけど、ほっこりさせられる。

3日目の喫茶店のあたりからのドス黒い田舎ヴァイブスがとにかく圧巻で。
〝気まずさ〟と〝エラいところに来ちゃった〟感に腹がよじれるほど笑ってしまった。
最後の夜、くさい布団の中で交わす会話が秀逸。思い出し笑い。あるある。
ヘンテコな旅をへて、微妙な距離感から〝今度、何か作ろうよ〟と言いあえる関係になったのが自分のことのように嬉しくなっちゃった。

たぶん、日本人にしか作れないロードムービー。
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