Jimmy

インド行きの船のJimmyのレビュー・感想・評価

インド行きの船(1947年製作の映画)
4.2
『危機』、『われらの恋に雨が降る』に続くイングマール・ベルイマン監督の長編3作目。

船乗りヨハンネスが一時的に陸に上がった時、旧友女性ソフィーと再会する。
そのソフィーの家に行くと、ソフィーと同居していた知り合いのおばさんが住んでいたが、その家を間借りしていた女性サリーこそが過去にヨハンネスの恋人だった女性である。

ヨハンネスが野外で寝ころび、「あの頃、7~8年前から生活が変わった」と過去を回想する。
この映画は、大半が回想シーンで綴られる。

ヨハンネスの父親アレクサンデルは意固地な性格もあり、喧嘩して失明寸前、若い女性サリーと深い仲になり、25年連れ添った妻には冷たい仕打ち、背骨の曲がったヨハンネスに対しても辛くあたる。
酷い父親である。

しかも、その父親が失踪してサルベージ業(どうやら沈んだ廃船に関する仕事のようである)が中断する……という出だしで始まるが、そのうちにサリーとヨハンネスも深い仲になる。
「おいおい、父親と息子が同じ女性と肉体関係か…。『インディ・ジョーンズの3作目』みたいだなぁ~笑」と大らかな世界である。

この映画、特筆すべきは後半のサスペンス的なベルイマン監督の描写である。

潜水服を着て水中に潜っている息子にポンプで空気を送っていた父親が、ポンプ送風を止めて、管まで切ってしまう殺人しようとする場面は「地面に映る父親の影」によって盛り上がりを見せる。素晴らしい!

サリーを演じた女優イェートルド・フリードは、あの『野いちご』でイーサクの妻=カーリンを演じている。

イングマール・ベルイマン監督の重要な初期作品であり、これまた傑作のひとつである。
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