娘の結婚について気にかけていた親父が
勝手に縁談の話を進めていたところ、
娘が彼氏を作って結婚したいと言い出し、
その彼のことを知ろうともせずに不賛成だと言い続け、
結婚式の前日に渋々式に出ると言い出す話。
左分利信が本当にムカつく。
まぁこの時代にはこんなやつはざらで
なんなら全方位的に好感さえ持たれてたのかもだが、
とにかく終始偉そうだし人の意見に耳を貸さない。
マジでこいつなんなの?ってイラつく。
田中絹代演じる妻がけっこう表情で見せてくれる作品で、
冒頭の知人の披露宴からしてなんかもの言いたげだし、
いよいよめんどくさくなってきた夫に対して
ほとんど論破しにかかってった後も、
一人で座ってにやにやしてる。
自分が選ぶのだから大丈夫だろうという縁談への過信と、
娘が勝手に選んだ相手をまともに見ようとしない傲慢さ、
でもその全てが「家長」には認められてる時代の話なんだよな。
だからクソジジイが結婚式に出るとわかったとき、
有馬稲子は大泣きするんだけれども、
それは親子関係に感動するとかじゃなくて
息苦しい時代を耐え抜く女性の悲しみが悲しくてすんごい泣けた。
とにかくこんな時代がかつてあったし、
たぶん保守派が望む「伝統的家族感」がここにあるし、
戦後間もないこの時代ですらそれがいかに女性にとって生きにくいものであったかがよくわかる。