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重力ピエロのmanamiのレビュー・感想・評価

重力ピエロ(2009年製作の映画)
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春が、2階から落ちてきた。
味覚やら気休めやらよく喋る春、『大豆田とわ子と3人の元夫』でのしんしんの若い頃を見てるようだわなんて呑気なこと思ってたら、どんどん不穏な空気になっていく。
高校生の春があそこまで怒りを爆発させた理由、「遺伝か環境か」論争、性的な事柄に対する不自然なほどの嫌悪、嘘をつく時の癖。さすが原作が伊坂幸太郎だけあって、感心するほどよくできている。
精緻な寄木細工のようによくできすぎていて、ネタバレなしでレビューするのが困難です。
ただ、タイトルの回収はやや唐突に感じる。原作ではもっときれいに入れられてるのかな。
役者さん達は皆ハマり役だし、「最強の家族」3人の絆には涙せずにいられない。お父さんがあまりにも善い人で良い男。そりゃ息子も立派に育つにきまってるよ。
それに比べて渡部篤郎が演じた役の性悪なこと。マンションを訪れた泉水に自慢げに持論を展開するシーンは、軽く吐き気をもよおすほど。渡部篤郎のこと嫌いになりかけるほど。
そして子ども時代の春を演じてたのが北村匠海だとエンドロールで知ってビックリ、どうりで可愛いわけだわ。それに後半はあちこち「これってあのシーンの…?」ってなるし、忘れないうちに2回目を観て、確認しながらゆっくり味わうのも良さそう。

40
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