ゆき

キング・オブ・コメディのゆきのレビュー・感想・評価

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
3.9
境界線

コメディアンとして高みを目指すがゆえ、自分なりの方法で人気者に近づいていく男の有様を描く。

理想と現実を行き来する彼と、その世界に踏み入った女。
最強ポジティブであるゆえに、薄気味悪さが突き抜けてた。
世間の色物を、意地悪に皮肉った一作。
自分のルールが正義とは言い難い。けれどこれは一般論であって、主観に委ねられている。
現実問題、なんでも写真に残せる環境の多様化と情報過多なSNSの普及で、表立つ人とそうでない人の境界線が危うい。「線引きができない人」であふれる現代に見直してみるとよりぞっとする。一概にフィクションとは言えない物語だから。
自分の“今”の立ち位置をどう見るのか。自分が立てるステージのトップはどこか。
一度見たのは学生の頃、JOKER鑑賞前に再び。味わい深い一作でした。
ゆき

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