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キング・オブ・コメディのyksijokiのレビュー・感想・評価

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
3.7
猟奇的だけど殺しはしないロバートデニーロをずっと見せられ続ける映画。笑えないレベルのストーカー気質を持つルパートがコメディアンに番組への出演を迫る。全編通じて表情が死んでるロバートデニーロが本当に怖い。そしてそれにつきまとわれるコメディアンのジェリーもどことなく感情を失っているというか有名税の搾取に疲れ切っている感じがあるのに恐ろしさを少し感じる。

ルパートのヤバさももちろんなのだけど女性ストーカーのリタがまた狂気。精神的におかしなことになってしまっているのがヒステリックさに反映されててリアルに怖い。

楽しく見れる感じは全然しなくて出てる人の人情味のなさにずっと胸糞悪さを感じていた。努力や運じゃないとこで夢を掴みにいくHowというか常に非常に直接的な方法で夢を実現させにいこうとしてる。

ルパートの空想、デモンストレーションと現実での事象の境目がうっすらとしていて区別がつかなくなる。この辺がすごく上手いつなぎ目になってきていて終盤の番組収録シークエンスが凄く活きていた。

ジョーカーのアーサーのモデルになっている部分や展開は本当によく似ている部分が多くあった。テレビを見せるシーンとか、薄ら寒い家族ジョークとか。

ルパートがラストで口にしていたどん底でいるよりも一瞬の王座、輝きをというワードは分かる部分はすごくあるけど、だからこそ誰でも彼やジョーカーになりかねない心を持っているというのが人間の恐ろしさだと思う。

有名になることと有名でいる事の対比が人を笑わせることと人に笑われる事の違いをくっきりとさせていて、この辺もすごくジョーカーに通づるなぁと感じた。
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