ぬまち

愛の集会のぬまちのレビュー・感想・評価

愛の集会(1964年製作の映画)
4.5
パゾリーニ監督自身がイタリア全土に赴き、性別年齢身分問わずあらゆる人に「セックス」について聞きまくるという、前代未聞のドキュメンタリー笑。セックスを通してイタリアという国を浮き彫りにさせようという試み。市井の人たちがセックスについてどう答えるかを観察する機会なんてまずないので、ある意味むちゃくちゃ貴重。パゾリーニの質問力が半端なく、同じドキュメンタリーの作り手として参考になる。普通、一般の人にセックスについてこんなにずけずけと聞けないよ笑。

ポルノ的な映像は一切なく、ひたすらインタビューに答える人の顔が画面を埋め尽くす。地味なように思えるが、これがめちゃくちゃ面白い。当時のイタリアの性事情が経済的格差の大きい南部と北部でこんなにも違うのには驚かされる。また、カトリックの国ということもあって、特に年配の人たちは性の解放には厳しい目を向ける。

何度も挿入される「自主規制」のテロップの出方、インタビューした女性が「イタリア南部は別の惑星」と答えると、カットが南部の農村に切り替わり、まるでSF映画の惑星のような撮り方をするなど、パゾリーニ流のユーモアのセンスも抜群。
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