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イップ・マン 序章のmarohideのレビュー・感想・評価

イップ・マン 序章(2008年製作の映画)
4.5
きちんとカンフー映画というものに取り組んだのはこれが初めてだったが、実に観やすく楽しめる作品だった。

まず主人公イップ・マンの一つ一つの所作が美しい。それは格闘シーンだけの話ではなく、たとえばただ茶を飲んだり階段を登り降りするだけでも身体使いがしなやかで優雅である。

アクションも暑苦しいものをイメージしていたがそんなことはなく、流れるようで常に静けさがあった。監督のこだわりを感じる。
映画的な演出による迫力は十分にあったが、過剰なオーバーリアクションやコミカル過ぎる場面はなく、そのあたりもカンフー映画初心者に観やすい要因なのかもしれない。

また、衣装が素敵でこれも嬉しい。1935年という時代もあってか、長袍にロングコートを羽織り中折れ帽を合わせる、といった和洋折衷ならぬ中洋折衷の格好が目にも楽しかった。

敵役としての大日本帝国も丁度いい塩梅だった。残酷な悪人ぶりは十分発揮しつつ、過度に貶められているような印象は受けず、なかなか役どころとしても美味しいと言えるのではないだろうか。きちんと通訳付きで日本語を話しているのも雰囲気があってよい。(この時通訳が中国語を日本人の怒りに触れぬよう意訳しており、そのあたりの板挟みな苦悩も垣間見れ面白かった)

総合的に非常に楽しめる映画だった。続編にも期待が募る。
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