KnightsofOdessa

アンダーグラウンドのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

アンダーグラウンド(1995年製作の映画)
4.9
["許そう、でも忘れないぞ"] 99点

1995年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品、パルムドール受賞作。エミール・クストリッツァ長編七作目で、コンペは三度目の選出、二度目のパルムドール。無知で無邪気なうちにこの映画を観ておくべきだったと反省している。とはいえ、180分間ずっと躁状態を保ちながら、あるセルビア人の見たユーゴスラビア近代史を、風刺的ユーモア、ダンス、シュールレアリスム、スラップスティックによって語り尽くす破壊的なパワーを持った作品なので、嫌いになるはずがない。ユーゴ=バルカン地域の作品では、マルコみたいな"戦時の英雄を語る詐欺師"が多く登場するイメージ。終盤の内戦風景は図らずも(?)ゴダールの『フォーエヴァー・モーツァルト』に似ていた。流石に燃える電動車椅子が爆走したりはしてなかったが(このシーンは『ひとりで生きる』っぽい)。ラストの夢幻的な二度目の結婚式はやはりどこまでも良く、地下からの川という流れに『時の翼にのって / ファラウェイ・ソー・クロース!』に似ていたりもする。あの場でクロがマルコに対して"許そう、でも忘れないぞ"というのが本作品の本質だと思う。実は最初は5時間のTV版を観ていたんだが、あまりにもテンポが悪いので途中から劇場公開版に切り替えてしまった。例えば、劇場版では第二部はほぼ結婚式の話だが、TV版では女優として働くナタリアとか、地上でマルコが参加したパーティなどが描かれている。まぁ別にいらないよな。残り4本。
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