女

アンダーグラウンドの女のレビュー・感想・評価

アンダーグラウンド(1995年製作の映画)
4.1
ラストシーンまで見届けて、
うわぁ(ため息交じり)

陽気なブラスバンドと、ふざけたおっさん2人(ユーゴスラヴィア出身)。やたら楽しそうな雰囲気から始まるから誤魔化されるけど、これは間違いなく歴史映画で戦争映画。このテンション…大丈夫なのかしら、と勝手に不安になりつつ観賞。

詩人で詐欺師のおっさん①マルコと、電気工具屋さん出身(で、結構不死身な)おっさん②クロが、ぶっ飛んだ女優ナタリアを間に、わちゃわちゃ悪いことをやりつつ、歴史に翻弄される話。特にマルコが結構な悪党で、多量の兵器製造・貯蔵所として、地下をフル活用しているんだが、それこそ地下国家みたいな、プチ社会が形成されててそれだけでも結構な見応え。

その地下は地上の目まぐるしく変わる情勢からしっかり取り残され(というかマルコにより情報を操作され)、時の流れまで5年分遅れている。クロも訳あってその地下で過ごすわけだけど、第二次世界大戦が終わっていてもマルコが地下にそれを伝えないのは、兵器製造目的のためなのかな。やりよる。

とにかく出てくるキャラが濃ゆくて、エピソードも多い。歴史的背景が重めなくせに、ギャグ感を残してくれるからとっても観やすい。笑える。その分、いつでも崩壊しそうな危うさが、常にある作品。
だって変なので。もう色々と。全然大丈夫じゃないの、展開が。

あと、本当に音楽が素晴らしい。ブラスバンドメンバーを引き連れるクロの、カリスマ性。とにかく、ブラバン組がいないと成り立たない世界観。
歴史と絡めるために用いる「当時の映像」に、俳優たちを入れて流すのも、しつこいくらいなんだけど贅沢。ナタリアの動きがコミカルすぎて微笑ましい。笑わせた後にトラウマ級の虚しさ(グルグルする車椅子とか)を挟んでくるのニクい。

「許そう。でも忘れないぞ。」

親友で同志なオッサン達。おぉ。
やっと観れた(超大作で躊躇してた)けど、観てよかった。
女