28歳という若さでこの世を去った天才・山中貞雄の遺作。
本作封切り日に赤紙が来るなんて…。
28歳にしてこんな映画撮れる人を戦争で失うなんて、日本映画界は本当に惜しい人を亡くしたなぁと。
もっともっと映画を撮って欲しかった。
もっともっと山中貞雄作品が観たかった。
現状観られる『丹下左膳餘話 百萬両の壺』『河内山宗俊』本作『人情紙風船』を観て本気でそう思いました。
髪結い、浪人、長屋の人々、ヤクザ…
様々な登場人物たちが織り成すコミカルなのにひたすらに哀しい群像劇。
いや、その哀しさすら間違っている気にさせられる謎めいた余韻に襲われるなんとも不思議な映画体験。
こりゃ2度3度と観ないとダメですな。
物語もさる事ながら、登場人物たちの会話や滅茶苦茶にハマる雨のカットなど、技術は進歩すれど、映画の根底にあるカタルシスはこの時代から既に確立されているんだ。