Omizu

映画に愛をこめて アメリカの夜のOmizuのレビュー・感想・評価

3.7
【第46回アカデミー賞 外国語映画賞受賞】
フランソワ・トリュフォー作品。アカデミー賞で外国語映画賞、監督賞、脚本賞、助演女優賞にノミネートされ外国語映画賞を受賞した。批評家賞でも数々受賞し、英国アカデミー賞では作品賞など三冠を達成した。トリュフォーで一番海外受けした作品と言える。

トリュフォーが『大人は判ってくれない』しか観ていない。やはり何がいいのか分からないという感想は変わらない。どうしても普通の映画にしか思えない。ゴダールは一発で作家性が分かるのにトリュフォーの作家性はよく分からない。

よくできているとは思う。でも普通の映画だなという以上のものがない。

話としては、イギリスから客演としてきたジュリーがフランスの映画人たちにひたすら振り回されるといった感じ。

キャストもスタッフもそれぞれ相手がいるのに寝たり、勝手に現場を抜けたり駆け落ちまでしたりとしっちゃかめっちゃか。それを収めようとする監督とジュリー。客演女優が一番しっかりしてるってどういうこと。

ちょいちょい面白かった。ネコがどうしても言うことをきかないところとか。あとは映画ネタがたくさん。どうしてもセリフが出てこない女優が「フェリーニの現場ではこうだったわよ!」って言ってデタラメなやり方をするとか。

監督の幼少期を夢として挟み込んだり、突然静止画になったり、奇妙なカメラワークや音演出があったりとなんとなくトリュフォーはこうなのかな、とは思うがそれはディテールの気づきであって、本質的な作家性は僕には見えなかった。

何の関係もないスタッフの奥さんが「これが映画なの!?しっちゃかめっちゃかじゃない!?」って発狂するところはその通り過ぎて笑った。

ちなみにタイトルの「アメリカの夜」は「昼にやるけどスクリーンを貼って夜に見せる」アメリカ式の技法のことらしい。

トリュフォー流『8 1/2』をやりたかったのかな。面白いけど普通の映画だなという感想。トリュフォーについてもっと知らなきゃ本当の良さは分からない気がする。
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